日々、リスティング広告の運用をしていると、同じようなことを反復することがよくあると思います。
- 毎週x曜日に○○レポートをダウンロードして、△をチェックする
- 入札単価を変更して、平均掲載順位をx位にする
- TD(広告)のA/Bテストをしており、規定数のImpressionを超えているものはA/Bテストを終了させる。
- TD入稿後、品質スコアをチェックする。
など、その他にも「ルーティン」となっている業務というのは少なく無いと考えています。
入札単価に関しては、「自動入札ツール」が導入され、ある程度の条件に対しては簡単に管理画面上で設定ができるようになりました。
しかし、TDのABテストやレポーティング。品質スコアのチェックなど、面倒なルーティンだけど管理画面上の機能だけで自動化出来ないことも数多く残っています。
そんな課題を少しでも解決してくれるのが「アドワーズスクリプト」です。
目次
Adwords Script(アドワーズスクリプト)とは
Adwords ScriptはGoogle Adwords上で動くスクリプトで、日々の面倒な様々な作業を自動化出来る可能性を秘めています。
特別、サーバーなどの追加投資も必要がないため、Adwords APIよりも気軽に利用ができます。
記述自体はJavascriptとなります。
フロントエンドエンジニアと言われる方がドキュメントを見たら簡単に書けると思いますし、プログラム未経験の方でも比較的習得しやすい言語だと思います。
Adwords Scriptで出来ること
そのアドワーズスクリプトですが、何が出来るの?と思われるかもしれません。
私がパッと思いつくだけでもかなりのことが出来ます。
- 日次のアカウントレポートを記録・送信する(当記事)
- ラベルごとに独自定義したレポートを作成する
- キーワードの品質スコアの遷移をGoogleスプレッドシートに記録する
- 条件を定義し、その条件を超える値を持った広告をメール通知をする
- リンク先URLにアクセス出来ない場合、メール通知をする
- A/Bテストが完了する見込みがたった広告があれば通知する
- 天気情報を外部から取得し、入札単価の変更(雨の日に入札を上げるなど)
- 祝日に広告を停止する
基本的に、情報が取得でき、かつトリガーが存在しているものであれば、ほとんどのことは自動化できます。
詳しい話は、Adwords/Analytics界隈で有名な山田さんが記事を書かれておりますので、ぜひご覧ください。
自動化をするメリット
日々、広告アカウントを運用している人でヒマという人は少ないでしょう。
受け持っているアカウントも少なくとも数種類はあるでしょう。
その中のすべてのアカウントに対し、毎日管理画面を隅々までチェックする。というのは非常に大変なことです。
大変なことですが、数日・数週・数ヶ月と運用を続けていくと、アカウントの法則みたいなものがある程度見えてきたりします。
その法則性をスクリプトに落とし、自動化することによって、今までかかっていた作業時間がほぼゼロになることも少なくありません。
あまり管理しなくて良いアカウントを作る
アカウントを複数管理して行く上で、すべてのアカウントに等しく全力を注ぐことは出来ません。
なぜなら、時間という最も代えがたい制約がそこにはあるからです。
やはり運用していく中で、力を注ぐアカウントと、そうでないアカウントが出てきます。
力を注ぐアカウントの例
- 予算が大きい(インプレッション/クリック数が多い)
- 構築直後
効率運用したいアカウントの例
- 予算が小さい(インプレッション/クリック数が少ない)
- ある程度完成している
効率運用をしたいアカウントはできるだけ自動化・最適化をほどこし、「あまり見なくてもきちんと稼働するアカウント」を作っていきましょう。
頑張らないことを決めれば、頑張っているものが速く終わる
時間というリソースは有限です。
その有限の時間の中で、やらないことを決め、しっかりと力を注ぐアカウントに力を注ぎ、成果の出る運用をしていきましょう。
そして、大きなアカウントでも構造を完成させることで、自動化の流れに乗せることが出来ます。
自動化ができれば、運用コストが減り、次のアカウント改善に力を注げるようになる。
そんな、正のスパイラルを構築していきましょう。
スクリプトの更なる発展のために必要なこと
ぼそぼそと思っていることを…。
Adwords Scriptは非常に便利なものです。
数年前から存在しており、ここまで便利なのになぜ広まらないのか。
大きな原因は2種類かと考えています。
- 広告運用者とシステム担当者の知識に大きな壁がある
- Yの存在
広告運用者とシステム担当者の知識に大きな壁がある
広告というものはここ数年、非常に早い速度で進化・複雑化しています。
その複雑化する流れに対応するためには、システムの力を頼らざるを得ません。
PLAのファイルを手作業で作る。なんてものは考えたくもないですね。
しかし、システムと広告運用者というものが協業することは少なく、お互いの知識が乏しいと感じています。
実際、私は数年間広告運用の世界におりますが、システムに明るく運用も出来るのは、上記で紹介したSEM Technologyの筆者、山田さんの他にはパッと思い当たりません。
広告の運用者の方ではPLAの設定が出来なかったり、タグの設定が出来ない方もいらっしゃいます。
逆にシステムの方では、広告の知識がないため、何をしていいのかわかりません。
サイト制作者が、何故か分からないけど「広告トラッキングのタグを消した」という話はよく聞く話です。
歩み寄りが大切
この問題に対しては、それぞれが歩みよるほか無いと思います。
広告運用者はシステムを作れる必要はないと思っています。
しかし、「システムを使えば何が出来るのか?」というシステム思考を身につけ、しっかりと要件を定義し、システム担当者へオーダーをする。
システム担当者は、ちょっと何を言われているのかわからない部分があったり、セキュリティ的に難しい問題であっても「出来ない」と頭ごなしに潰さずに、きちんと説明をすることが大切でしょう。
Yの存在
日本にはGoogleともう一社、リスティング広告で無視できないY社が存在します。
いかんせん、このY社。システムの中核はGoogleと同じモノを使っているにもかかわらず、スクリプトをサポートしていない。
APIの公開も限られた正規代理店のみにしか行わない。という状態です。
Googleの運用をいかに効率的に行なっても、Y社の存在がある限り、完全自動化の道は遠いのが現状です。
どうせGoogleを自動化しても、タスクが実はそこまで減らない。というのがスクリプトが進まない一つの理由ではないでしょうか。
Adwordsスクリプトを勉強したい方に
Adwordsスクリプトの文法であるJavascriptを覚えることさえできれば、スクリプトを書くこと自体は難しくありません。
おすすめ書籍
学習系Webサービス
関連スライド
システム系の勉強は、大変ですし面倒ですが、それは「楽をするための努力」なのです。
数年レベルの視点で見たとき、それは回収できる投資なのかもしれません。
今後、デジタルマーケティングはどんどんシステム化が進みます。
テクノロジーに寄り添い、ラクに仕事を出来るように頑張りましょう。
追記
薦めておいて自らが行動していないのはちょっとアレなので、書いてみました。