目次
Meet Magento とは
ECサイトを制作するオープンソースのECプラットフォームである「Magento」をより広めるためのイベント。
日本ではEC-CUBEが有名なECプラットフォームだが、世界的にトップシェアを握っているのはMagentoであり、日本での普及を目指して行われた日本初のイベント。
個人的にEC-CUBEはパートナーとして登録し、カスタマイズなども行っていたが、Magentoは全く触ったこともなかったため、興味もあり参加をしてきました。
※ 部分的に英語でのセッションでした。
同時翻訳のレシーバーもいただいておりましたが、スピーカーのジェスチャーやテンションとずれたタイミングで聴くと理解が浅くなるため、利用しませんでした。
が、英語に明るくないため、誤訳などあるかもしれません^^;
オープニング
MMA(Meet Magento Association)を設立。
方針
みんなで運用をサポートしていく。
様々なアドオンを提供し、グローバル展開していくのに際し、適切なアドオンをユーザが探すことで対応していく。
MeetMagentoEventは全世界で行われています。
developers paradiseというイベントがある。
- 時期:2016年4月25日〜28日
- 場所:クロアチア、オパティア
基調講演
OpenSourceというものの普及に苦労した。
それまでは無料ということが嘲笑されていたが、MySQLの売却で一気に注目が高まった。
コミュニティにある800スレッドに対し、毎日目を通し、顧客の要望とともに育ててきた。
ebayに売却された後、その辺りの方向性が合わずにやめた。
4つのCoreValue
- Partnership
- Community
- Collaboration
- Translate
Magento連携した、越境ECにも対応可能なパーソナライズサービスで売上アップ
一目惚れや検索ワードがわからないものは検索できないという課題を抱き、検索エンジンの限界を感じた。
そしてDeqwasを作った。
Deqwas(デクワス)の紹介
サイト内レコメンデーションに活用。
デクワスの内部は複雑ネットワーク理論で開発されている。
デクワス導入で何が起こるか
- PVが上昇。平均135%に。
- トップセールスよりもロングテールの商品のPVが上がる。
アパレルの事例
- 2014年4月〜2015年2月のデータ。
- 平均購買数:1.05→1.59
- デクワス利用率:42.4%→72.9%
ラーニングしていくので、1年かけてドンドン成果が上がってきた。
高精度の秘訣は
複雑ネットワーク理論の精度。
購買順序も見ている。
単純な関連度ではない。
導入に際して
今までは
- タグ埋め
- レコメンドの基準
- マスタ連携
の3ステップが必要だった。
これからは
- Magento Extension for dequas
を利用するだけ。
簡単に導入できる。
デクワスAdやRECOとも連携可能。
deqwas.POD
レコメンデーション付きの納品書を発行することが出来る。
→ 商品と同時に自分だけのミニカタログが届くようなもの。
実績
- 30日以内の再購入率20%→39%
- 平均購買単価15%UP、サイト売上12%UP
# newyokerというアパレル通販で2年実施の結果。
自社の納品書と一体なので、リーチ率が100%、またレコメンドされているので相性が良い。そして一番アツいタイミングで広告訴求できる。
PDFで出力も可能なので、家庭用プリンタでも利用OK。
1つのタグでコンバージョンを最適化!欧州主要ECサイトで利用される離脱防止策について
71.2%がサイトに来ても離脱してしまっている。
離脱理由
- 予想よりも高かった
- 見てただけ
- 他のサイトで安いものを見つけた
- カートの合計金額が高くなってしまった
- 送料が高い
- 購入までのフローがわかりづらい
- セキュリティが心配
- 時間がない
離脱を防ぐのではなく、離脱を戻す。
成果報酬額
アフィリエイトやリスティングの目標金額とほぼ同額。
導入
JSタグを挿入するだけ。タグマネにも対応。
Magento Connectにも対応。
# 日本語対応はまだ
DMPにも展開予定。
VePromptの紹介
離脱時にビジュアルで訴求をするプロダクト。
サイトを離れるとクリエイティブを表示させる。
カートや決済情報入力ページでの活用が好ましい。
VeContactの紹介
リタゲティングメールの送信プロダクト。
フォームにメールアドレスを入力したタイミングでアドレスを自動取得。
45分後に自動的にメールを送信する。
法律的には大丈夫?
メール内容にディスカウントやベネフィットを書くと法律違反。
それをしなければホワイト。
また、norepryのような一方的に送信するメールアドレスからの送信もNG。
VeAssistの紹介
商品検索アシスト機能をもつプロダクト。
主に商品詳細ページで活用。
離脱をしようとした際に、レコメンド商品ダイアログを表示する。
# Ve独自の表示のみ可能。自社や他社のレコメンドエンジンは基本的に利用できない。
レコメンドを作成する方法として、フィードの提供・更新は不要。
VeがJSで自動でデータベース化する
これまでとこれから 〜Magentoを触る人に知っておいてほしいこと〜
2010年11月18日。Magento2のアーキテクチャが決まる。
2015年11月18日。Magento2ローンチ。
これからはMagento2系にシフトしていく。
これまで 1.x系
- インストールと負荷で悩む。
- 終わらない翻訳作業。
- ローカライズ
- 姓名・住所の表記順。
- フリガナ
- 価格表記と税計算に伴う端数処理の問題
Magentoの謎を解け
- 設定ファイルの正しい定義
→ リファレンスがない - デザインカスタマイズの定石
→ ベストプラクティスがない - rewriteとObserverとlocalコピーをどう使い分ける?
- Interfaceになってないけど大事なメソッドって何?
ドキュメント
- 公式の技術資料がない。
→ 失敗してノウハウを積み重ねる。
悟り
- 魔改造を避ける
→セキュリティパッチが当てられない。(コアにしかパッチは当たらないから) - できるだけlocalコピーはしない
- 無茶すると大変なのは未来の自分
- 過去のコードは負債であり資産
これから 2.xの時代
色々クリアに。
- ドキュメント:devdocs・Github
- コード管理:Github
- 翻訳:Crowdin
広めるためにまずは日本語化とドキュメント
Magento-JapanというグループをGithubに設立。
→ JOINしてください。
Advent Calenderやります。
ほぼ毎月Magento Cafe Plusをやっている。
Magento 2: What it Means for Merchants and Developers
何故Magento2を作ったか
アップグレードのたびによく壊れる。
しかし、それは成長に伴う痛みであり、いつかは壊さなければならない。
またPHPなどもここ数年で非常に大きく進化し、そしてEコマース市場も複雑かつ大きな市場になり
単純なアップデートでは対応できなくなった。
変わった点(開発者
管理画面
- 複雑なコードを分割。
- 継承関係を整理し簡単に出来るように。
→旧来はいろんな方法で同じことが出来た。 - コンポーネントをモジュール化
- 学習コストは掛かる。パーツ化して設定
パフォーマンス
- コア部分の改修
- 開発者からのフィードバックを受け、パフォーマンステストを実施
- ベンチマークのツールキットを作成
自動テスト実行時にも利用してもらうことを勧める
#エンタープライズバージョンではスケーラビリティに優れている。メモリキャッシュなども活用し非常にスピードに優れている。
統合(Integrations
- APIを初め、外部アプリとの統合が進む
- 1ストア平均:14Integrations
- 競合や衝突が起こらないような構造
カスタマイズ
- コアを触らなてもカスタマイズ出来る
- config+XSD
- 新たなコーディング基準が定まる
- Composerでのインストールや管理を実現
アップグレード
ロードマップを定義。1Qごとに更新する。
最適なプラットフォームを活用していく。
SVN->Githubのような。
自動テストは必ずやろう。
まだ完璧ではないがテストケースを増やしていく。
テスト大切。テストすれば早く帰れる。テストしてる間に一服できる。
テスト
Magento2の中でテストしていないコードは未完成のコードとして定義する。
開発する際はテストを必ずしてください。
変わった点(ビジネス
管理画面
- ナビゲーションの改善
- パフォーマンスの改善
- タッチデバイスへの対応
- その他いろいろ…
パフォーマンス
- 早くなる = コンバージョンが増える。
- 使うと儲かる
統合
- さらなる統合が増える。
- 統合コストが減る。
カスタマイズ
- 開発カスタマイズがしやすい→より早く安くカスタマイズできる。
最後に
Magento2をトレーニング出来る代理店を追加した。
Magento Uというオンライントレーニングコンテンツが出来ている。
devdocsのドキュメントも出来ている。
新しいMagento Connectを2016年1Qに公開
いま7500のMagento Appがある。その数が2になることで減るかもしれない。
ただし、クオリティコントロールをしっかりとしていく。
クールなアイデア、いけてないコード、変な翻訳あれば連絡くれ。
Magentoは巨大企業ではなくなった。
500名程度の企業で、Magentoにコミットしている。
Twitterで質問などが来たらきちんとみてサポートしている。
よりよいコミュニティとして育てていこう。
QA
Q. 1.x系のサポートはいつまでやるの?
2日前からカウントして3年後、つまり2018年11月18日まで。
Q. パフォーマンスの向上が課題になっていたが、理想のアーキテクチャセットはありますか?
おすすめ設定をドキュメント設定サイトに書いている。(devdocs.magento.com)
PHPは5.6を推奨。PHP7が出たらそのアップグレードのおすすめする。
Q. テストの重要性を説いていただいたが、今後のエクステンションのテスト要件(カバレッジや規約)などは定められているのか
Yes。
PHPに対する自動テスト、Magentoに対する自動テストツールも作成した。
まずそのテストを試してみるのが良いのではないか(2ヶ月後くらいに公開。)
Magento2 テーマの作り方
フロントエンドの概要
強い意志を感じる
シェア拡大・丁寧に実装、開発エコシステムを刷新していく意思
ポイント1
デフォルトでだいたい何でも入っている
ポイント2
「かく・ある・べき」という強い意志
ポイント3
LESSが標準
自動コンパイル(Production Mode
less.jsブラウザコンパイル(Development Mode
自前で処理したい向き様にGruntタスクもある
ポイント4 開発者サポートあれこれ
公式ドキュメントが充実している
ポイント5 注意すべき点
- 定められた道をそれると地獄(かも
- IDEなしでは考えられない(かも
- 「デザインモックアップ>コーディング」なプロセスだと痛い目を見る(かも
我々フロントエンド開発者は何が出来るか
レイアウト(定義.xml)
見た目の定義・モジュールの並べ方の地図
テンプレート(.phtml)
いわゆるテンプレ。テンプレートエンジンは変えられる(らしい
CSS(.less
ブロック、またはモジュールごとに細切れに定義される。
配置とファイル名が適切ならば自動的にまとめてコンパイル→間違えていれば取られない
Assets
- js.imgなどの静的ファイル
- ブロックごとに専用の配置場所がある。
- 設置場所と定義.xmlが適切ならば自動的にまとめてリンクもよしなにしてくれる。
テンプレは親テンプレを指定して作成することが出来る。
継承は何段階でも制限なく行える。
例) blank > luma > mytheme > campaigntheme
テーマ開発者に用意された選択肢(3+1
- 継承する
- 拡張する
- 上書きする
- ゼロから作る
継承
- 親テーマを指定して内容を引き継ぐ
- 小さい改造にオススメ
拡張
- 親テーマの内容に付け足す
- 拡張は言葉通り足し算
定義や画像など。
例)バナー付きリンク(ブロック+Assets)を追加する
上書き
親テーマの内容を上書きする。
例)LESSにて、変数$text_colorを上書きする。
テーマをゼロから作る
公式でオススメしていない。だが出来る。
テーマ開発に関する作業
- 開発者モードにする
- ページキャッシュ生成をOFF
- ブロックヒントをON
- テーマを有効にする
覚えないといけないこと
- ファイル位置と名前を気にする必要がある。
- IDEのサポートが出来るかもしれない。
- アップデートでリセットされるので、公式のblankとlumaは直接いじらす、継承した子テーマを使うこと。
- キャッシュに気をつけろ
最後に
- ドキュメントが充実しているので、公式ドキュメントは初学にベスト。
- ただし、日本語化も決済プラグインもない。
Amazonログイン&ペイメントで変わるネットショッピング
サービス開始の背景
- ID・パス忘れでサービス利用をやめた経験がある人 92%
- カート画面以降、注文完了画面までの離脱率 68%
- ソーシャルログインでプライバシーの問題が起こる不安を持っている 40%
サービスの内容
- 2タップで購入が完了する。
- 確認画面において、チェックボックスで会員登録させることが出来る。
- 注文と同時に会員登録する確率:60%(他の方法では25%程度)
スマートフォンの注文完了までの所要時間
- 7分42秒→1分50秒まで短縮
購入率の改善
- 離脱率が34.6%(通常は67%強)
導入に際して
APIを用いた開発を行う必要がある。
Magentoのサポーター
- Veriteworks
- FLATS
Magento ExtensionはGithubなどに公開されている。(Veriteworks製)
QA
Q. 個人情報は自社に取り込めるという認識でOKか
Yes. 初回購入時の確認画面に情報共有してOKか。というダイアログがある。それにOKを押していれば情報共有される。
Q. ペイメント経由で取得した情報で制限される項目はあるか。
Amazonで所持していない項目は提供できない。(カナ・性別・生年月日など)
また、姓名のレコードは分かれていないなど、ローカライゼーション的に課題はあるかも。
Q. パートナーが2社あるとのことだが、独自で実装することは可能か
そもそもExtensionが存在している。それをそのまま使っていただくか、カスタマイズしていただくかは自由。(1.x系だろうな。。)
Q. プラグインについての問い合わせはどこ宛てにすればよいか。
切り分けは難しい。一旦Amazonに問い合わせていただいて、わからなければ…
EC-CUBEコミッターから見たMagento
EC-CUBEは国内No.1のEC。
ではMagentoより優れているのか?
そんなことはない。
Magentoすごい。
EC-CUBEとMagentoの比較
EC-CUBE:全然機能ない。
Magentoの方がいい。
でもローカライゼーションがEC-CUBEの方が大きく優れている。
大半のショップは専門家ではないリテールの方が運用している。
膨大な機能は使いこなせない。
またEC-CUBEは日本人に優しいデザインになっている。
そして国内の情報量が多い。
Magentoには実績情報が少ない。
30分クッキング 〜ECサイト構築の一連の流れ〜
- テンプレートはphtml
- 基本はテーマは階層構造になっている
階層構造で書き換えたいファイルのみを保存し、管理画面上で使うテンプレートを指定してやればそれが適用される。
案外プラグインでやらないといけないものが多い
- ポイント機能
- 都道府県別の送料
プラグインはMagento Connectというサイトに豊富に存在している。
クロージング
日本で初めてMeetMagento出来てよかった。
Magento2 公開のタイミングということでも重ねて良かった。
今後、みなさんで盛り上げていきましょう。来年もやります!Meet Magento 2016!
個人的まとめ
Magentoはすごい。
機能としては、EC-CUBEを圧倒的に凌駕するほどの充実っぷりである。
それらの機能を使いこなせるか。使う必要があるか。というところがEC-CUBEを選択するか、Magentoを選択するかの争点となるだろう。
Magento 2への期待
いままで、一般的に利用されてきたのはMagento 1.x系である。
そして、2015/11/18にMagento 2がローンチされた。
構想が完成したのは2010年らしい。
それまでに膨大な量の開発が必要とされるものだったのであろう。
まだプラグインなども1に比べると充実はしていないが、開発環境や布教するための基盤は圧倒的に優れているため、今後の発展に期待。
ローカライズの課題
ECとは個人情報の山である。
よって、”信頼”というものが非常に重要視される分野であると考えている。
つまり、その国の商習慣や常識、見慣れたレイアウトなどが当然必要になってくる。
特に日本という国は世界標準に比べ、ドマイナーの極みと言える。(通貨・2バイト文字など)
その課題を埋めるのは必須であり、それらを簡単に埋めることができる時が来た時、Magento 2は日本で大きく羽ばたくのではないだろうか。