「ストレスチェック義務化法」への対応とESマネジメント/CRMカンファレンス まとめと振り返り




「LINE」が変える”これからのカスタマーサービス”/CRMカンファレンスに参加してきました に引き続き、12月から義務化される「ストレスチェック義務化法」への対応とESマネジメントのセッションを受けてきました。




目次

ストレスチェック義務化法とは

平成26年6月25日に公布された労働安全衛生法の一部を改正する法律により、ストレスチェック面接指導の実施等を義務づける制度が創設されました。
今回新たに導入されるストレスチェック制度は、定期的に労働者のストレスの状況について検査を行い、本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気付きを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減 させるとともに、検査結果を集団ごとに集計・分析し、職場におけるストレス要因を評価し、職場環境の改善につなげることで、ストレスの要因そのものも低減させるものであり、さらにその中で、メンタルヘルス不調のリスクの高い者を早期に発見し、 医師による面接指導につなげることで、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止する取組です。(平成27年12月1日施行)

出典:厚生労働省

つまるところ、

  1. ストレスチェックと面接指導を行い
  2. ストレス状況を本人に気づかせ
  3. メンタルヘルス不調を未然に防ぐ

という3ステップを踏むことで、精神疾患患者を減らそうという試みです。

義務化の背景

昨今、うつ病などの精神疾患の患者が非常に多くなってきた。(2011年時点で95万人)
# 95万人というのは、通院やカウンセリングなどで顕在化された患者の数であり、潜在的には900万人の患者が存在すると言われている。

また、精神疾患は6.3%もの人が罹る可能性がある病とされており、社会問題になっている。

5大疾患 グラフ

2011年まで4大疾患と呼ばれていた

  • 糖尿病
  • がん
  • 脳血管疾患
  • 虚血性心疾患

に加え

  • 精神疾患

が新たに加わり、5大疾患と定義された。

そして、精神疾患は近年も減ることなく増え続けているため、社会全体としての課題と捉え、改善に舵を切ったというところであろう。

精神疾患の労災認定の増加

精神疾患労災数グラフ

精神疾患による労災認定・申請数は増加をし続けており、2013年で1,409件の申請数となっている。
1人以上の休職者がいる企業は全体の52%を占める。

また、1人あたりの想定コストは年間平均422万にも登る

手当・人的コストなどの諸経費含む

そして、発症した人が健全で完璧な状態で職場復帰する確率は50%未満である。

ストレスチェック対応の重要性

  • 法律による義務化が敷かれる。現状罰則はなし
  • 企業経営上のリスクヘッジ(訴訟リスクへの対応)
  • 生産性の向上・コストの削減
  • 企業イメージ・リクルーティングの低下防止

現状、罰則自体は存在しないが「ストレスチェックを行っていない」という事実が上記それぞれに影響する可能性がある。

例えば

  • 訴訟を起こされた際、業務不履行とされ敗訴する可能性が上がってしまう。
  • リクルーティングを行った際、ストレスチェックを行っていない=ストレスが過剰にかかると思われてしまう可能性がある。

が考えられるとされています。

義務化になる対象

従業員50人以上の“事業場”の場合、義務化の対象となる。

50人未満の場合、当面の間は「努力目標」となる。

事業場とは

ひとつの労働場所を指す。
東京本社と大阪支社、それぞれ30人、合計60人の会社においては事業場人数が50人に満たないので義務化の対象にならない。

対象の従業員は

「常時使用される労働者」と定義されている。

(1)期間の定めのない契約により使用される者であること。なお、期間の定めのある契約により使用される者の場合は、1年以上使用されることが予定されている者、及び更新により1年以上使用されている者。(なお、特定業務従事者健診<安衛則第45条の健康診断>の対象となる者の雇入時健康診断については、6カ月以上使用されることが予定され、又は更新により6カ月以上使用されている者)

(2)その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分3以上であること。

提供:東京労働局

派遣社員の取り扱い

派遣社員の場合、雇用関係上”派遣元”にストレスチェックの義務が発生する。
しかし、派遣先にもストレスチェックが”努力目標”として発生する。

ストレスチェックの実施方法

ストレスチェックは

  • 1年以上に1回以上
  • Webにより

実施を行う。

また、雇用主にストレスチェックの義務が発生するが、雇用されている労働者に”受験の義務はない”

ストレスチェックの検査項目

ストレスチェックの調査票は事業者ごとが自由に選択するとされているが、国では標準的な調査票とし「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」を利用することを奨めています。

項目は大きく分けて

  1. ストレス要因
  2. ストレスによる反応
  3. 周囲のサポート

の3つに分類される。

ストレスチェックの結果について

結果は実施後に産業医等から本人に対して通知される。

その後、高ストレスとみなされた場合、産業医との面談などを通じ企業側に産業医が要望を通達する。

結果は本人の同意がない場合、企業側が見ることはできない。

また、結果によって受験者が不利益を被らないように企業側は十分に留意しなければならない。

例)受験を拒んだ労働者や、ストレスの値が高かった労働者に対しての減給や異動など。

詳しくは厚生労働省の特設ページでご確認ください。

まとめ・所管

日本がストレス社会と言われてもう何年経ったか定かではありません。
少なくとも私が社会人になった時には既にストレス社会と呼ばれ、うつが社会問題になっていたと記憶しています。

特に私が身をおくエンジニア界隈は非常にうつに陥りやすい職種とされており、精神疾患とは非常に身近なものと感じています。
その問題に対し、国を上げて対策を行っていくということ自体は非常に良いことだと思います。

しかし、同様にひとつの懸念も抱きます。

それは「過保護」な社会にならないか。ということです。
「ゆとり」という教育方針が制定され、競争を排除し「みんないちばん。みんなが特別」という思想のもと、教育された年代の方たちが社会人になり始めています。
しかし、実際の社会は競争だらけ。「みんないちばん」なんて事を考えていたら社会は何も良くならないし、個人の成長もない。

日本のGDPが上がらないというのも、根源は潜在意識的にある「安心感・満足感」なのだと思います。
ずっと不景気だけど、衣食住にそこまで苦労しない。
時給900円でも毎日キツくないし生きていけるし、最悪まぁいいや。というものが根付いているのではないかと思います。

そういう頑張らないマインドを持っている方がいる状況で、ストレスチェックが義務化されることで、労働者が企業に対し力を持ちすぎた形になり、労働生産性が全体的に下がってしまうという懸念が最も恐れる事ではないかと考えています。

今年、2015年12月に施行される当制度ですが、どうなるのか慎重に監視していくことが必要と考えています。

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