Meet Magento JP 2015 まとめと振り返り







目次

Meet Magento とは

Screenshot of jp.meet-magento.com

Meet Magento Japan

ECサイトを制作するオープンソースのECプラットフォームである「Magento」をより広めるためのイベント。

日本ではEC-CUBEが有名なECプラットフォームだが、世界的にトップシェアを握っているのはMagentoであり、日本での普及を目指して行われた日本初のイベント。

個人的にEC-CUBEはパートナーとして登録し、カスタマイズなども行っていたが、Magentoは全く触ったこともなかったため、興味もあり参加をしてきました。

※ 部分的に英語でのセッションでした。
同時翻訳のレシーバーもいただいておりましたが、スピーカーのジェスチャーやテンションとずれたタイミングで聴くと理解が浅くなるため、利用しませんでした。
が、英語に明るくないため、誤訳などあるかもしれません^^;

オープニング

MMA(Meet Magento Association)を設立。

方針

みんなで運用をサポートしていく。
様々なアドオンを提供し、グローバル展開していくのに際し、適切なアドオンをユーザが探すことで対応していく。

MeetMagentoEventは全世界で行われています。

developers paradiseというイベントがある。

  • 時期:2016年4月25日〜28日
  • 場所:クロアチア、オパティア

基調講演

OpenSourceというものの普及に苦労した。

それまでは無料ということが嘲笑されていたが、MySQLの売却で一気に注目が高まった。

コミュニティにある800スレッドに対し、毎日目を通し、顧客の要望とともに育ててきた。
ebayに売却された後、その辺りの方向性が合わずにやめた。

4つのCoreValue

  • Partnership
  • Community
  • Collaboration
  • Translate

Magento連携した、越境ECにも対応可能なパーソナライズサービスで売上アップ

一目惚れや検索ワードがわからないものは検索できないという課題を抱き、検索エンジンの限界を感じた。

そしてDeqwasを作った。

Deqwas(デクワス)の紹介

サイト内レコメンデーションに活用。

デクワスの内部は複雑ネットワーク理論で開発されている。

デクワス導入で何が起こるか

  • PVが上昇。平均135%に。
  • トップセールスよりもロングテールの商品のPVが上がる。
アパレルの事例
  • 2014年4月〜2015年2月のデータ。
  • 平均購買数:1.05→1.59
  • デクワス利用率:42.4%→72.9%

ラーニングしていくので、1年かけてドンドン成果が上がってきた。

高精度の秘訣は

複雑ネットワーク理論の精度。

購買順序も見ている。
単純な関連度ではない。

導入に際して

今までは

  1. タグ埋め
  2. レコメンドの基準
  3. マスタ連携

の3ステップが必要だった。

これからは

  1. Magento Extension for dequas

を利用するだけ。
簡単に導入できる。

デクワスAdやRECOとも連携可能。

deqwas.POD

レコメンデーション付きの納品書を発行することが出来る。
→ 商品と同時に自分だけのミニカタログが届くようなもの。

実績

  • 30日以内の再購入率20%→39%
  • 平均購買単価15%UP、サイト売上12%UP

# newyokerというアパレル通販で2年実施の結果。

自社の納品書と一体なので、リーチ率が100%、またレコメンドされているので相性が良い。そして一番アツいタイミングで広告訴求できる。

PDFで出力も可能なので、家庭用プリンタでも利用OK。

1つのタグでコンバージョンを最適化!欧州主要ECサイトで利用される離脱防止策について

71.2%がサイトに来ても離脱してしまっている。

離脱理由

  • 予想よりも高かった
  • 見てただけ
  • 他のサイトで安いものを見つけた
  • カートの合計金額が高くなってしまった
  • 送料が高い
  • 購入までのフローがわかりづらい
  • セキュリティが心配
  • 時間がない

離脱を防ぐのではなく、離脱を戻す。

成果報酬額

アフィリエイトやリスティングの目標金額とほぼ同額。

導入

JSタグを挿入するだけ。タグマネにも対応。
Magento Connectにも対応。

# 日本語対応はまだ

DMPにも展開予定。

VePromptの紹介

離脱時にビジュアルで訴求をするプロダクト。
サイトを離れるとクリエイティブを表示させる。

カートや決済情報入力ページでの活用が好ましい。

VeContactの紹介

リタゲティングメールの送信プロダクト。

フォームにメールアドレスを入力したタイミングでアドレスを自動取得。
45分後に自動的にメールを送信する。

法律的には大丈夫?

メール内容にディスカウントやベネフィットを書くと法律違反。
それをしなければホワイト。
また、norepryのような一方的に送信するメールアドレスからの送信もNG。

VeAssistの紹介

商品検索アシスト機能をもつプロダクト。

主に商品詳細ページで活用。

離脱をしようとした際に、レコメンド商品ダイアログを表示する。
# Ve独自の表示のみ可能。自社や他社のレコメンドエンジンは基本的に利用できない。

レコメンドを作成する方法として、フィードの提供・更新は不要。

VeがJSで自動でデータベース化する

これまでとこれから 〜Magentoを触る人に知っておいてほしいこと〜

2010年11月18日。Magento2のアーキテクチャが決まる。
2015年11月18日。Magento2ローンチ。

これからはMagento2系にシフトしていく。

これまで 1.x系

  • インストールと負荷で悩む。
  • 終わらない翻訳作業。
  • ローカライズ
    • 姓名・住所の表記順。
    • フリガナ
    • 価格表記と税計算に伴う端数処理の問題

Magentoの謎を解け

  • 設定ファイルの正しい定義
    → リファレンスがない
  • デザインカスタマイズの定石
    → ベストプラクティスがない
  • rewriteとObserverとlocalコピーをどう使い分ける?
  • Interfaceになってないけど大事なメソッドって何?

ドキュメント

  • 公式の技術資料がない。
    → 失敗してノウハウを積み重ねる。

悟り

  • 魔改造を避ける
    →セキュリティパッチが当てられない。(コアにしかパッチは当たらないから)
  • できるだけlocalコピーはしない
  • 無茶すると大変なのは未来の自分
  • 過去のコードは負債であり資産

これから 2.xの時代

色々クリアに。

  • ドキュメント:devdocs・Github
  • コード管理:Github
  • 翻訳:Crowdin

広めるためにまずは日本語化とドキュメント

Magento-JapanというグループをGithubに設立。
→ JOINしてください。

Advent Calenderやります。

ほぼ毎月Magento Cafe Plusをやっている。

Magento 2: What it Means for Merchants and Developers

何故Magento2を作ったか

アップグレードのたびによく壊れる。
しかし、それは成長に伴う痛みであり、いつかは壊さなければならない。

またPHPなどもここ数年で非常に大きく進化し、そしてEコマース市場も複雑かつ大きな市場になり
単純なアップデートでは対応できなくなった。

変わった点(開発者

管理画面

  • 複雑なコードを分割。
  • 継承関係を整理し簡単に出来るように。
    →旧来はいろんな方法で同じことが出来た。
  • コンポーネントをモジュール化
  • 学習コストは掛かる。パーツ化して設定

パフォーマンス

  • コア部分の改修
  • 開発者からのフィードバックを受け、パフォーマンステストを実施
  • ベンチマークのツールキットを作成
    自動テスト実行時にも利用してもらうことを勧める

#エンタープライズバージョンではスケーラビリティに優れている。メモリキャッシュなども活用し非常にスピードに優れている。

統合(Integrations

  • APIを初め、外部アプリとの統合が進む
  • 1ストア平均:14Integrations
  • 競合や衝突が起こらないような構造

カスタマイズ

  • コアを触らなてもカスタマイズ出来る
  • config+XSD
  • 新たなコーディング基準が定まる
  • Composerでのインストールや管理を実現

アップグレード

ロードマップを定義。1Qごとに更新する。

最適なプラットフォームを活用していく。
SVN->Githubのような。

自動テストは必ずやろう。
まだ完璧ではないがテストケースを増やしていく。
テスト大切。テストすれば早く帰れる。テストしてる間に一服できる。

テスト

Magento2の中でテストしていないコードは未完成のコードとして定義する。

開発する際はテストを必ずしてください。

変わった点(ビジネス

管理画面

  • ナビゲーションの改善
  • パフォーマンスの改善
  • タッチデバイスへの対応
  • その他いろいろ…

パフォーマンス

  • 早くなる = コンバージョンが増える。
  • 使うと儲かる

統合

  • さらなる統合が増える。
  • 統合コストが減る。

カスタマイズ

  • 開発カスタマイズがしやすい→より早く安くカスタマイズできる。

最後に

Magento2をトレーニング出来る代理店を追加した。

Magento Uというオンライントレーニングコンテンツが出来ている。

devdocsのドキュメントも出来ている。

新しいMagento Connectを2016年1Qに公開

いま7500のMagento Appがある。その数が2になることで減るかもしれない。
ただし、クオリティコントロールをしっかりとしていく。

クールなアイデア、いけてないコード、変な翻訳あれば連絡くれ。

Magentoは巨大企業ではなくなった。

500名程度の企業で、Magentoにコミットしている。
Twitterで質問などが来たらきちんとみてサポートしている。

よりよいコミュニティとして育てていこう。

QA

Q. 1.x系のサポートはいつまでやるの?

2日前からカウントして3年後、つまり2018年11月18日まで。

Q. パフォーマンスの向上が課題になっていたが、理想のアーキテクチャセットはありますか?

おすすめ設定をドキュメント設定サイトに書いている。(devdocs.magento.com)
PHPは5.6を推奨。PHP7が出たらそのアップグレードのおすすめする。

Q. テストの重要性を説いていただいたが、今後のエクステンションのテスト要件(カバレッジや規約)などは定められているのか

Yes。

PHPに対する自動テスト、Magentoに対する自動テストツールも作成した。
まずそのテストを試してみるのが良いのではないか(2ヶ月後くらいに公開。)

Magento2 テーマの作り方

フロントエンドの概要

強い意志を感じる

シェア拡大・丁寧に実装、開発エコシステムを刷新していく意思

ポイント1

デフォルトでだいたい何でも入っている

ポイント2

「かく・ある・べき」という強い意志

ポイント3

LESSが標準

自動コンパイル(Production Mode

less.jsブラウザコンパイル(Development Mode

自前で処理したい向き様にGruntタスクもある

ポイント4 開発者サポートあれこれ

公式ドキュメントが充実している

ポイント5 注意すべき点

  • 定められた道をそれると地獄(かも
  • IDEなしでは考えられない(かも
  • 「デザインモックアップ>コーディング」なプロセスだと痛い目を見る(かも

我々フロントエンド開発者は何が出来るか

レイアウト(定義.xml)

見た目の定義・モジュールの並べ方の地図

テンプレート(.phtml)

いわゆるテンプレ。テンプレートエンジンは変えられる(らしい

CSS(.less

ブロック、またはモジュールごとに細切れに定義される。

配置とファイル名が適切ならば自動的にまとめてコンパイル→間違えていれば取られない

Assets

  • js.imgなどの静的ファイル
  • ブロックごとに専用の配置場所がある。
  • 設置場所と定義.xmlが適切ならば自動的にまとめてリンクもよしなにしてくれる。

テンプレは親テンプレを指定して作成することが出来る。
継承は何段階でも制限なく行える。
例) blank > luma > mytheme > campaigntheme

テーマ開発者に用意された選択肢(3+1

  1. 継承する
  2. 拡張する
  3. 上書きする
  4. ゼロから作る

継承

  • 親テーマを指定して内容を引き継ぐ
  • 小さい改造にオススメ

拡張

  • 親テーマの内容に付け足す
  • 拡張は言葉通り足し算
    定義や画像など。

例)バナー付きリンク(ブロック+Assets)を追加する

上書き

親テーマの内容を上書きする。
例)LESSにて、変数$text_colorを上書きする。

テーマをゼロから作る

公式でオススメしていない。だが出来る。

テーマ開発に関する作業

  • 開発者モードにする
  • ページキャッシュ生成をOFF
  • ブロックヒントをON
  • テーマを有効にする

覚えないといけないこと

  • ファイル位置と名前を気にする必要がある。
  • IDEのサポートが出来るかもしれない。
  • アップデートでリセットされるので、公式のblankとlumaは直接いじらす、継承した子テーマを使うこと。
  • キャッシュに気をつけろ

最後に

  • ドキュメントが充実しているので、公式ドキュメントは初学にベスト。
  • ただし、日本語化も決済プラグインもない。

Amazonログイン&ペイメントで変わるネットショッピング

サービス開始の背景

  • ID・パス忘れでサービス利用をやめた経験がある人 92%
  • カート画面以降、注文完了画面までの離脱率 68%
  • ソーシャルログインでプライバシーの問題が起こる不安を持っている 40%

サービスの内容

  • 2タップで購入が完了する。
  • 確認画面において、チェックボックスで会員登録させることが出来る。
  • 注文と同時に会員登録する確率:60%(他の方法では25%程度)

スマートフォンの注文完了までの所要時間

  • 7分42秒→1分50秒まで短縮

購入率の改善

  • 離脱率が34.6%(通常は67%強)

導入に際して

APIを用いた開発を行う必要がある。

Magentoのサポーター

  • Veriteworks
  • FLATS

Magento ExtensionはGithubなどに公開されている。(Veriteworks製)

QA

Q. 個人情報は自社に取り込めるという認識でOKか

Yes. 初回購入時の確認画面に情報共有してOKか。というダイアログがある。それにOKを押していれば情報共有される。

Q. ペイメント経由で取得した情報で制限される項目はあるか。

Amazonで所持していない項目は提供できない。(カナ・性別・生年月日など)
また、姓名のレコードは分かれていないなど、ローカライゼーション的に課題はあるかも。

Q. パートナーが2社あるとのことだが、独自で実装することは可能か

そもそもExtensionが存在している。それをそのまま使っていただくか、カスタマイズしていただくかは自由。(1.x系だろうな。。)

Q. プラグインについての問い合わせはどこ宛てにすればよいか。

切り分けは難しい。一旦Amazonに問い合わせていただいて、わからなければ…

EC-CUBEコミッターから見たMagento

EC-CUBEは国内No.1のEC。
ではMagentoより優れているのか?

そんなことはない。

Magentoすごい。

EC-CUBEとMagentoの比較

EC-CUBE:全然機能ない。
Magentoの方がいい。

でもローカライゼーションがEC-CUBEの方が大きく優れている。

大半のショップは専門家ではないリテールの方が運用している。
膨大な機能は使いこなせない。

またEC-CUBEは日本人に優しいデザインになっている。
そして国内の情報量が多い。

Magentoには実績情報が少ない。

30分クッキング 〜ECサイト構築の一連の流れ〜

  • テンプレートはphtml
  • 基本はテーマは階層構造になっている

階層構造で書き換えたいファイルのみを保存し、管理画面上で使うテンプレートを指定してやればそれが適用される。

案外プラグインでやらないといけないものが多い

  • ポイント機能
  • 都道府県別の送料

プラグインはMagento Connectというサイトに豊富に存在している。

クロージング

日本で初めてMeetMagento出来てよかった。

Magento2 公開のタイミングということでも重ねて良かった。
今後、みなさんで盛り上げていきましょう。来年もやります!Meet Magento 2016!

個人的まとめ

Magentoはすごい。

機能としては、EC-CUBEを圧倒的に凌駕するほどの充実っぷりである。
それらの機能を使いこなせるか。使う必要があるか。というところがEC-CUBEを選択するか、Magentoを選択するかの争点となるだろう。

Magento 2への期待

いままで、一般的に利用されてきたのはMagento 1.x系である。
そして、2015/11/18にMagento 2がローンチされた。

構想が完成したのは2010年らしい。
それまでに膨大な量の開発が必要とされるものだったのであろう。

まだプラグインなども1に比べると充実はしていないが、開発環境や布教するための基盤は圧倒的に優れているため、今後の発展に期待。

ローカライズの課題

ECとは個人情報の山である。
よって、”信頼”というものが非常に重要視される分野であると考えている。

つまり、その国の商習慣や常識、見慣れたレイアウトなどが当然必要になってくる。

特に日本という国は世界標準に比べ、ドマイナーの極みと言える。(通貨・2バイト文字など)

その課題を埋めるのは必須であり、それらを簡単に埋めることができる時が来た時、Magento 2は日本で大きく羽ばたくのではないだろうか。

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